ドロップセット法/効果を上げる筋トレテクニック
ドロップセット法は、1セット目で限界に達したら、すぐに重量を減らし連続で動作を繰り返す方法です。
同じ種目を連続して行い、各セット目標反復回数の範囲でオールアウト(1回も挙げられない状態)するようにします。
ドロップセット法は、筋繊維の疲労を高め限界を超えることで、筋肥大と個々の筋肉の形を出すことに有効なトレーニングテクニックです。
反復回数(レップ)は、8?12回の範囲で目標反復回数を設定し、各セットその範囲内でオールアウトするといった形をとります。
1?2回の前後は許容範囲としますが、次のセットではできる限り指定の反復回数に収まる重量に調整することが望ましいといえます。
基本は、3セット×8?12回のメニュー構成としますが、中上級者などトレーニングを積んでいる人はセット数を4?5セットとすることもあります。
メニュー構成例
・各種目3セットで構成。
・セット間は休憩なしで重量を落として反復を繰り返す。
・種目間の休憩時間は3分とする。
【上腕二頭筋】
1.ダンベル・インクラインカール ・・・ 3セット×10回
2.ダンベル・カール ・・・ 3セット×12回
3.ハンマーカール ・・・ 3セット×12回
【上腕三頭筋】
1.ライイング・トライセプス・エクステンション ・・・ 3セット×10回
2.キックバック ・・・ 3セット×12回
3.フレンチプレス(ダンベル・オーバーヘッド・トライセプスエクステンション) ・・・ 3セット×12回
【大胸筋】
1.インクライン・ダンベル・ベンチプレス ・・・ 3セット×10回
2.ダンベル・ベンチプレス(フラットベンチで) ・・・ 3セット×10回
3.ダンベルフライ ・・・ 3セット×10回
【広背筋】
1.ワンハンド・ダンベル・ロウイング ・・・ 3セット×10回
2.ラットプルダウン ・・・ 3セット×10回
3.シーテッドロウイング ・・・ 3セット×10回
【太もも】
1.レッグプレス ・・・ 3セット×10回
2.レッグエクステンション ・・・ 3セット×12回
3.レッグカール ・・・ 3セット×12回
以上、例を示しましたが、セット間に休憩をはさまずに重量を落として継続することを意識して行えば、様々な種目を組み合わせることができます。
ただし、すぐに重量を調節することができない種目は別の種目に置き換えるか、パートナーに重量を外してもらうなどの方法を取る必要があります。
理想は、ダンベル、またはピンを入れ替えるだけのマシンを使ったトレーニング種目で構成することです。
重量の調節について
重量の調節は、前のセットの重量より20?30%落とした重量が、おおよそ前のセットと同程度反復できるとされています。
例えば、ダンベルフライで1セット目を20kgで10回行った場合、2セット目は16kg?14kgのダンベルに持ち替えてすぐに反復を始めます。3セット目は、2セット目で14kgで行ったとしたら、12kg?10kgに持ち替えるといった調節になります。
20?30%で計算した場合、端数が出てキリが悪い重量になることが多いですが、その場合は求められた重量の下の重量で行うようにするとよいでしょう。
10kg、12kg、14kgなど2kg単位のダンベルしかない場合を想定すると、重量計算した際 11.2kg と求められたら、下の重量の10kgのダンベルで行うようにします。
ちなみに筆者の場合は、25%ずつ重量を落としていくと、おおよそ前のセット同じ重量の反復が可能となります。(端数がでたら、下の重量で行う)
ただ、個人差がありますので、何回か試行錯誤してどの程度落とすと、ちょうど良いか肌で感覚をつかんでいく必要があるでしょう。
また、少々難易度が高くなりますが、重量ではなく動作スピードで調節することもできます。
もし、12回を超えてしまいそうな場合に途中から動作を遅くしスロートレーニングに切り替えることで反復回数を調節する方法です。
どういうことかというと、通常のスピードで行うよりもスロートレーニングは筋繊維に持続的に負荷を加えられ、また血流の制限時間が伸びます。それにより疲労度が増し、回数を抑えることに繋がるのです。
逆に8回に届かない場合は、少し反動を使って反復する方法もあります。
これをチーティングといいますが、無理な反動や感覚をつかんでいない内に行うと怪我の危険もありますので、中上級者向けの方法になります。
実施する場合は、最終2?3セット(※)、かつそのセットの最後の2?3レップで用いるようにしましょう。
(※)3セットでメニューを組んだ場合は、2セット目と3セット目、5セットで組んだ場合は、4セット目と5セット目
チーティングの例としては、5回で反復できなくなったら、あと3回を反動を使って反復を継続するといった形になります。
この時、意識することはチーティングを使ってウエイトを挙げたら、下ろす時は動作をコントロールしてゆっくり下ろすことです(これをネガティブレップという)。感覚としては、3秒程度かけて下ろします。
こうすることで、筋繊維に大きな刺激を加えることが可能となります。
トレーニング経験を積んでいく過程で、どの重量に持ち替えれば、このくらいの回数出来るといった感覚が身に付いてきます。
そうなれば厳密に計算せずに、ある程度指定の範囲に収まるようになりますし、指定の範囲に収まらない場合でも、スロトレやチーティングで回数調節もスムーズに行うことができるようになるでしょう。
ドロップセット法を取り入れることのメリット
(1)時間効率がよい
連続で行うためトレーニング時間が短縮でき、効率的なトレーニングを実施することができます。
(2)弱点を克服できる
弱点となっている部位の種目にドロップセットを取り入れることで、強化を図ることができます。
体力的にすべての部位でドロップセットを用いることができない場合があります。
その際、弱点部位に絞ってドロップセットを用いることで、体力を集中的に弱点部位に向けることが可能となります。
(3)さらなる筋肉の成長に繋がる
弱点部位の克服にも関連しますが、限界を超えて筋肉を働かせることができるため、筋肥大や個々の筋肉のパーツを際立たせることができます。
また、筋肉が焼けつくような感覚を得る「バーン感」や筋肉が張った状態になる「パンプ」を得られ、筋肉の成長に貢献します。
(4)心肺機能の強化を図ることができる
スーパーセット法同様、心肺機能の強化にも役立ちますが、ドロップセット法は3セット以上連続で行うことから非常にハードなトレーニングになります。
そのため、全身的な疲労はスーパーセット法を超え、心拍数の上昇と継続に伴い心肺機能の強化を図ることが可能となります。
(4)マンネリ&プラトー(停滞期)脱出
日頃のトレーニングでドロップセット法を取り入れること以外にも、マンネリ化やプラトーに陥った場合に刺激を変えることで停滞脱出を図ることができます。
もっとも、ドロップセットのみならず、数週間ごとにメニューを組み替えたり、変化をつけることはトレーニング効果の継続的な向上において大切な要素となります。
以上、ドロップセット法の主なメリットになります。
ドロップセット法は、初心者にとって難易度が高く、一定の心肺機能も必要となる非常にハードなトレーニングです。
取り入れたい種目を正しいフォームで確実に出来るようになったら、ドロップセット法を検討してみるとよいでしょう。
フォームが整わないうちは、ストレートセット(通常の休憩をはさんで行うセット形式)で体力と一定の筋力アップ、筋肉アップを図っていくことに努めるようにしましょう。